2012年10月24日水曜日

「破壊的イノベーション」について

部署の週1のミーティングにて、毎週一人ずつ30分ほど何かを発表する。この前自分の番が来て、「イノベーションのジレンマ」という本のレビューを行った。
エンジニアばかりなので、こういうマーケティング寄りの話は興味を持ってもらえないだろうと半ばあきらめ気味で発表したが、案外興味を持ってくれて、発表の後ちょっとした討論にまでなった。

更新をやめて半年以上経ち、このサイトは二度と更新することはないと思っていたが、 せっかくなので、ここにも掲載しようと思う。
気分転換に、ブログタイトルを変更した。どうでもよいことだけど。


  
「イノベーションのジレンマ」を一言でいうならば、ある企業がその市場にシェアを持っていればいるほど、安定した大企業であればあるほど、その市場を不安定にするようなイノベーション(破壊的イノベーション)は起こせない、ということだ。

演算・グラフィック処理のスペック争いとなっていたゲーム機市場に、突如出現した、低スペックCPUを搭載したWii。ゲーム機用のゲーム市場を侵食するチープな携帯ゲー ム。ノートPC市場に現れ、一時ブームになったネットブックと、ネットブックの後釜となりブレークしているタブレットなど、近年のハイテク市場のムーブメ ントは、この理論を用いて説明できる。


  

今回は、ノートPCを例にとって本理論を説明していく。
上記の図は、年々リリースされるノートPCの、性能の平均値の移り変わりを示している。ノートPCの性能は年々向上しており(図の青線)、そしてある時点でユーザーニーズ(赤の点線)を追い越してしまう。
ノートPC の過剰スペックにより、ノートPCほどの性能を必要としない機器に対する潜在需要が出てくる。ASUSのEEEPCはそれを見事にキャッチアップしてブーム化。その後ネッ トブックの進化形としてAppleがiPadをリリースし、ノートPC市場とは一線を画すタブレット市場が確立された。

ちなみに、この記事ではタブレットをネットブックの進化形として割り切って説明している。多少強引かもしれないが。


  

別の視点で説明してみる。
昔はノートPC市場は中間層をターゲットにしていた。ノートPCの性能はデスクトップよりも低いのでハイエンドにはあてられず、高価なのでローエンドにもならなかった。
しかし、最近はハイエンド市場もカバーしている。この理由は、①テクノロジーは年々進歩してゆくので、製品のレンジは自然にハイエンドに移行してゆく、②ハイエンドは収益が大きく安定的なので、企業は意識的にそこを狙う、ということが挙げられる。

一方、ローエンドに対しては、ソニーなどの実績あるメーカは手を出せない。そこは大した利益は見込めず、不確かで、ニーズもいまいち分からないからだ。 逆に、ASUSのような、自社ブランド販売で実績のないメーカーにとっては、それは市場に参入する絶好の機会となった。

今現在、ネットブック自体は廃れてしまったが、ネットブックが切り開いた市場はタブレットが引き継いでいる。ネットブックは価格が安いだけの劣化商品であったが、タブレットはノートPCよりも直感的で使い安い点でアドバンテージを持つ。こうして、ノートPC市場はタブレットに侵食されていく。


Wiiの出現についても同じように説明できる。ゲーム機は新機種が出るたびにスペックが向上し、操作性は複雑になり、マニア志向に移っていった。 XBOX360、PS3と比較して低性能であるが、操作性をよりシンプルにしたWiiは、高性能なゲーム機を必要としない人たちをうまくキャッチアップできた。
最近の携帯ゲームも、高性能なゲーム機を必要としない人たちをキャッチアップし、あげくソーシャルゲームという独自の進化を遂げた。

あるいは薄型テレビ。日系メーカーは収益の高いハイエンドに狙いを定め、高性能、高機能を追求してきた。けどもそれはユーザーニーズを飛び越えてしまい、韓国メーカーによる低性能・低価格のテレビに市場を奪われている。




既存企業は破壊的イノベーションを起こしにくい。既存企業にとっての優先事項は今抱えているビジネスを継続・成長させる(持続的イノベーション)ことであり、それをするのに必要なプロセスや価値基準は、破壊的イノベーションに必要とするプロセスや価値基準と相容れない。

ある組織が、持続的イノベーションと破壊的イノベーションの両方を受け持つことは基本的に不可能だ。持続的イノベーションを受け持つ組織には、売り上げ・利益・成長率の目標があり、株主からの圧力もある。しかし破壊的イノベーションで狙う市場は小規模で不確かであり、継続的で大規模な収益は見込めない。この場合、マネージャーは持続的イノベーションにリソース配分を優先するだろうし、それが正しい判断と言える。

なので、破壊的イノベーションを起こすためには、独自のプロセス・価値基準を持つ小さな組織が必要になる。たとえば社員をスピンオフさせて別会社を作るとか、買収した会社を合併せずに、独立性を維持させるというのがよい。


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