2011年11月29日火曜日

ウルトラブックの勝ち組/負け組

最近、各社で薄型ノートパソコン、いわゆるウルトラブックが発売され始めました。ASUS、Acer、Lenovo、そして東芝と、相次いで発表・発売しています。Intelによると世界で70機種ほどが開発中であるとの話です。
ネットブックのよりも薄型でありながら、ネットブックと異なり快適な性能を備えるウルトラブックは、今後ノートパソコンの主流になることが予想されています。
さて、この市場で勝者となるのはいったいどのメーカーでしょう?

自分は、勝者となるパソコンメーカーなどおらず、全員が敗者である、と考えています。
なぜなら、ウルトラブック市場で巻き起こるのは単なる価格競争であり、各社しのぎを削る厳しい戦いになるからです。
もちろん、各メーカーは、創意工夫して自社のウルトラブックに独自性をもたせるでしょう。しかし、ウルトラブックという共通の製品コンセプトをベースに作られるため、各製品で大きな違いを持たせることが難しく、似たり寄ったりのパソコンが横並びになります。
結果、価格競争となり、肉を切らせて骨を断つような値下げ合戦となるでしょう。
また、ウルトラブックの価格競争は、既存のノートパソコン市場にも悪影響を与え、ノートパソコン市場全体の価格低下を招くかもしれません。

でも、全てのパソコンメーカーにとってウルトラブック市場は好ましくないのであれば、なぜウルトラブックという市場は存在するのでしょうか。

そもそも、ウルトラブックとは、CPU/チップセット供給元であるインテルが今年の5月に構想を提唱したことに端を発します。また、インテルはその際に「第2世代Coreプロセッサー搭載、本体の厚さ20mm以下、主要価格帯を1,000ドル」と、仕様から価格までを設定しています。
つまり、インテルがウルトラブック市場を作ったのです。インテルはウルトラブック市場という土俵の胴元であり、各パソコンメーカーはその土俵で消耗戦を強いられている構図があります。

というわけで、勝者は胴元であるインテルと言えます。
これは今回に限った現象ではなく、DOS/V市場の成長とパソコンメーカー同士の競争の陰には、いつもインテルの策略がありました。

蛇足ですが、元祖超薄型ノートであるMacbook Airが発売されてから何年も経っているにもかかわらず、インテルに尻をたたかれなければ同様のパソコンを作れなかった各社パソコンメーカーは、負け組から脱する術を持ち合わせていないようです。